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カナダ・バンクーバーで、M/Mロマンスとか、BLとか

『死者の囁き(アドリアン・イングリッシュ #2)』進展しない微妙な距離感から、愛の確信へと変化する運命のリトリート

実はこのブログ記事、半年前に8割くらい書き上げていたんですが、筆が止まってしまっていて。
ダメですね、1度止まると、再び書き始めるのにかなりのエネルギーが必要なんです。
毎日少しずつ書いていると、難なく書き終わるんだけど。

勉強とかも同じで、仕事帰りにオフィスに残るなり、カフェに行くなりして勉強するのはそんなに難しくないんですけど、1度家に帰ってゆっくりディナーを食べてしまうと、いざ勉強しようと思っていても、なかなか重い腰が上がらないんです。

同じ行動でも、動き続けるのと、一度止まって動き出すのとでは、必要なエネルギーが違うので、うまい具合にエネルギーをコントロールして生きたいな、と日々思っているのですが、なかなか…。

何かを続けるコツは精神力ではなく、システマチックに習慣化することが重要ですよね。

ではでは、前置きが長くなりました。
毎回のことですが、感想記事は長くなりますし、盛大にネタバレしていますのでご了承ください。
ただし、シリーズ3~6の内容には触れませんのでご安心を。

※日本語翻訳版は読んでいないので、各英文の翻訳部分は私の意訳です。間違ってたら教えてください!

アドリアン・イングリッシュシリーズ

アドリアン・イングリッシュシリーズイメージ画像

原書でも日本語翻訳版でも6巻まで出版されていて、完結しているお話です。

シリーズを通して築き上げられていく二人の関係。
2巻では、まだまだ正式なカップルにもなっていない、デーティング期間という言葉すら言い過ぎなくらいの、二人の微妙な距離感が楽しめます。

あらすじ

行き詰まった小説執筆と微妙な関係となったジェイク・リオーダンから逃れるように、祖母が遺した牧場へとやってきたアドリアンは道ばたで死体を発見する。だがその死体は保安官が来た時には跡形もなくなっていた。敷地内のスパニアード・ホロウ峡谷では学者たちによる発掘作業が行われていたが、謎の呪文や飼い犬の変死にスタッフは不安を覚えている。そして牧場の郵便受けにはガラガラヘビが。これは谷の安らぎを守る「ガーディアン」の呪いなのか?アドリアンを追ってやってきたジェイクとの関係も事件を通してゆっくりと動き出す、シリーズ第二弾。Source : 死者の囁き (アドリアン・イングリッシュ #2)

カップリング

アドリアン・イングリッシュ (Adrien English)

LAでミステリ専門の書店「Cloak and Dagger」を営みながら、自身も推理小説を執筆している。
ちょっと長めのダークヘア、青い瞳、色白。
身長は 5'11 1/2 (181.61cm)でスレンダー。
32歳、乙女座。
愛車は Black Ford Bronco。
Stanford University の文学部を卒業。
16歳の時に罹ったリウマチ熱により心臓疾患持ち。

ジェイク・リオーダン (Jake Riordan)

LA警察、殺人課の刑事。
ナチヘアカットのブロンド、ヘーゼルの瞳。
身長は 6'3 (190.5cm)で、筋肉質。
作中で40歳の誕生日を迎える。
アドリアンに好意は持っているが、恋人のように接することが出来ない。

みどころ

なかなか縮まらない距離間に悶える

1巻の事件から2ヶ月経った時点から、物語はスタートしますが、簡単には進まない彼らの恋路。
ほぼ友人関係の二人が、2巻で大きく進展するのかと思い、はやくはやくとページをめくるも、全然進展していかない!
もちろん二人ともお互いに好意を持っているのは明らかなのに…!

アドリアンがガンガン押すわけでもなく、もちろんジェイクから歩み寄ることもないので、もうじれったい距離感が続きます。
彼らの(主にジェイクの)問題は分かってはいるんですが、もっとデートしようよ、もっと話しあおうよ、もう少し大胆に攻めてみようよ、と私の悶える勢いが止まりません。

矛盾だらけのジェイクの行動

1巻でのホモフォブぶりとは違い(まだ残ってはいるんだけど)、2巻でのジェイクの言動は非常に矛盾に満ちています。

男とは恋人になれない、キスどころかハグすら出来ない、もちろん未来なんて考えられない。
さらに、付き合っている女性がいて、彼女と結婚して子供を作って家庭を持ちたい。

と言っていたかと思えば、

アドリアンが事故に巻き込まれ、病院に運ばれたら、何時間もかけてドライブして駆けつける。
アドリアンに好意を寄せる別の男の存在に、大人げなく嫉妬を露わにする。
アドリアンを心配し過ぎて口うるさい。

などなど。

読みながら、何度 「お前は一体何がしたいんだ?」 と思ったことか。

彼の矛盾だらけの行動は、40年も貫き通している「ヘテロ」である自分と、「アドリアンへの好意」に気付いている自分、その狭間で揺れ戸惑っているから。
彼のその不器用な生き方に、愛しさすら感じます。

私がアドリアン・イングリッシュシリーズが好きなのは、このあたりの心の葛藤を丁寧に描いてあるからなんですよね。

ジェイクへの愛に気付くアドリアン

そんなジェイクに惹かれていて、彼との関係をもっと進めたいアドリアンですが、なかなか進んで行かない状況にイライラ。
お得意の皮肉も飛んでいます。

ジェイクから2人の未来について、シャットアウトするかのような発言を度々され、ショックを受けてはいますが、なかなか諦められません。
(私も一緒になってショックを受けていました。話が進まないじゃないか!)

そんな時、撃たれたジェイクに付き添い病院へ。
心疾患によって常に死と隣り合わせの生活をしていた彼にとって、自分の死はさして大きな問題ではなかったみたいですが、ジェイクの危険には信じられない勢いで取り乱します。

そして、気づくわけですね。もう引き返せないほど、アドリアンにとってジェイクは大きな存在になっていたことを。

好きなシーンをひたすらあげる

薪割りはもちろん上半身裸で

When I woke several hours later, Jake was outside reducing the timberline to a pile of kindling. For a time I stood at the window admiring the bronzed musculature of his bare chest as he sweated and chopped wood with manly ferocity. He looked right at home, ax in hand, his blond hair shining like miner’s gold in the mountain breeze. Yep, my vision was definitely improved.Source : A Dangerous Thing (The Adrien English Mysteries #2)

(僕が数時間後に起きた時、ジェイクは外にいて、薪を割り、積み上げていた。窓際に立っている間、彼が汗をかき、男らしく薪を割っている、そのブロンズ像のように筋肉質な胸板を眺めていた。彼はここでとても生き生きしていて、斧を手に持ち、金髪は山のそよ風で炭鉱の金のように輝いている。うん、僕の視界は間違いなく治ったみたいだ。)

上半身裸で薪割りとはお約束ですね、脱ぐ必要があるかはさておき。 そして、それを眺めて視界が治ったと確信するアドリアンが非常に可愛い。

2巻では、アドリアンがジェイクのカッコよさ・セクシーさにキュンとしてるシーンが多々あって、可愛くて可愛くて。好みなんだろうなぁ、ガチムチ系男子。

余談ですが、先日キャンプに行った時に、さも当たり前のようにカナダ人男子たちが、持参した斧でおもむろに薪を割っていて、「上半身は脱がないのかー」と残念に思いました。

薪割のコツは?と尋ねると、 「Confidence!」 とのことです。

うなじへのキス

“Good-night,” he whispered. “‘Night,” I mumbled on the edge of sleep. A moment later sleep disappeared in a jolt of awareness as Jake kissed the nape of my neck and ... departed.Source : A Dangerous Thing (The Adrien English Mysteries #2)

(「おやすみ」ジェイクが囁いた。僕も「おやすみ」と夢の淵でつぶやいたが、すぐに眠気が吹き飛んだ。ジェイクが僕のうなじにキスをし、そして去って行ったことに気付いたから。)

初めてボディタッチがアドリアンへのマッサージ。
ジェイクの労りと申し訳なさからの行動だとは思うんだけど。

ジェイクの優しさが滲み出ている上に、うなじにキスするのが、愛しさが込み上げてる感があって悶える。
LAから離れた場所で二人っきりなのに、なかなか進展しない関係にモダモダしつつも、ちょっとずつは動いてきた…かな?

眠気が吹き飛ぶアドリアンが可愛い。もう可愛いしか言ってない気がする(語彙力)

魚の匂いがセクシー?

He was sunburnt, wet, and smelled faintly of fish. Sexy as hell. Don’t ask me to explain.Source : A Dangerous Thing (The Adrien English Mysteries #2)

(ジェイクは日に焼け、濡れていて、少し魚の匂いがした。ものすごくセクシー。お願いだから何故かは尋ねないで。)

さて、詳しく聞こうか。

まぁ、日焼けはね、特に欧米では色白よりもセクシーと捉えられますよね。

濡れてるのもね、英語圏で一番聞きたくない不快になる単語が「moist」なくらい、「濡れてる=セクシャル表現」なので、分かりますよね。

魚は、まぁ、…ワイルド感かな?笑
あと確か、アドリアンって海の男好きでしたよね、それは関係あるんだろうか…笑

まぁ、何だっていいです、あなたの官能が刺激されるのであれば何だって。

ジェイクを失うのが一番怖い

Now I realized that I was even more afraid of something happening to Jake.Source : A Dangerous Thing (The Adrien English Mysteries #2)

(ジェイクに何か起きる方が、僕にとってはもっと怖いんだって、今気が付いた。)

2巻で一番大事なシーンじゃないでしょうか。
ジェイクも撃たれたかいがありますね。

「好きになり過ぎて別れが怖い」は、ロマンスでは常套句ですが、やっぱり盛り上がりますよね、ストーリー的に。

それにしても、旅行中にドイツのホテルで、緊急入院したパートナーを待っている間、今までの思い出が走馬灯のように脳内を駆け巡ったのを思い出すわ…。

初めてのキス

His mouth touched mine and it went through my mind that it was his first man-to-man kiss. I seemed to experience that kiss through Jake’s virgin senses: the queerness of a man’s hard jaw, a man’s bare lips, the texture of a man’s smooth shaven cheek, so different from a woman’s soft skin. The taste of a man’s mouth.Source : A Dangerous Thing (The Adrien English Mysteries #2)

(彼の唇が僕の唇に当たり、これが彼にとって初めての男同士のキスなんだな、と頭に浮かんだ。キスを通して、ジェイクの「初めて」を僕は感じ取ったような気がした。がっしりとした男のあごの奇妙さ、何も塗っていない男の唇、男のひげを剃った後の滑らかな頬の手触り、女の柔らかい肌とは全然違う。男の唇の味。)

初めての男とのキス。
はぁ~、やっと前進した…とホッと胸をなでおろしつつ。

むしろ、私は歯磨きしてない方が気になってしまいました。
アドリアンは先にシャワー浴びてたんで、歯を磨いたかもしれないけど、ジェイクは起き抜けですよね。
というか、急にモーテルに泊ってるから、歯ブラシ持ってないかも?(北米のホテルはアメニティ充実してないのがデフォルト)
初キスがモーニングマウスってどうなの?と、なんだか私の方がロマンスに集中できませんでした。

確かに、言われてみると、普段は女性としかキスしてない人が、急に男性とキスする方が違和感があるかもしれませんね。
私の場合、男性とのキスの方が先だったので、初めて女の子とキスした時に、「なんていい匂いなんだ!」「なんて柔らかいんだ!」と感動したのを覚えています。

燃える嫉妬

“Kevin was just leaving,” I said, managing to detach myself from Kevin. “Did he mistake you for the door?” “It’s not what you think,” Kevin chimed in. Not really a helpful remark.Source : A Dangerous Thing (The Adrien English Mysteries #2)

(「ケビンはちょうど帰るところだよ。」と言い、ケビンから離れようとした。「彼はお前をドアと間違えたのか?」「君が考えてるようなことじゃないよ。」ケビンも同意する。そんなに役に立ってないけど。)

今回はケビンに対して、ちょっと子供っぽくも、分かりやすく嫉妬を表すジェイクが可愛い。
もう、完全にアドリアンのこと好きなんじゃないか、観念しろよ、と。

初夜への誘い文句

“So,” he said casually, “You want to fuck?” “Sure,” I said. But I was less sure when we walked into my bedroom and undressed. For one thing, I knew sex wasn’t going to solve anything, but it might change things. For the worse.Source : A Dangerous Thing (The Adrien English Mysteries #2)

(「それで…」彼は何げなく言った。「やる?」「いいよ。」と僕は返した。でも、ベッドルームへ行き、服を脱いだ時、本当にいいのか不安になった。1つだけ言えることは、SEXは何も解決しないってこと。変化をもたらしたとしても、悪い方にばかりだってことを知ってたから。)

あまりにカジュアルでびっくりしたわ。

私はこのシーンを、1巻の始めからここまでずーっと待ち望んでいて、やっと!という気持ちだったんですが、何と言うか、ロマンチックには始まらないのが現実的ではあるかな。

それから、日焼け止めってルーブの代用品になるのか?と疑問でした。 何だか粉っぽく乾燥するタイプも多いじゃないですか。 オイリー系だったんだろうか。

オフボタン

“You need it bad. Worse than I do.” I gasped, “Is it a competition? What do I win?” “Shhh. Turn off for a few seconds, Adrien.” “A few seconds? Is that all it’s —” I caught my breath as his finger moved knowledgeably, unerringly. “There’s the off button,” he murmured.Source : A Dangerous Thing (The Adrien English Mysteries #2)

(「すごく欲しかったみたいだな、俺以上に。」僕は喘ぎながら「競争なの?何がもらえるんだよ。」「シー。少しの間静かにしよう、アドリアン。」「少し?それってー…。」彼の指が知ったように的確に動き、僕は息を飲んだ。「オフボタンがあった。」と彼が囁いた。)

相変わらずおしゃべりが過ぎるアドリアンですが、そんな彼に「Shhh.」と言うジェイクが何ともセクシーです。

そして、オフボタンのくだりが良い。
私としては、生意気なアドリアンに対して、常に主導権はジェイクが握っていて欲しい。

コックリングかウェディングリングか

I wasn’t sure what we were talking about. The sex itself or the fact that for him sex was all it was? Did he want to put a cock ring on me or did he fear I wanted to put a wedding ring on him?Source : A Dangerous Thing (The Adrien English Mysteries #2)

(僕は何の話をしているのかよく分からなかった。SEX自体のこと?それとも、彼にとってSEXはSEXでしかないということ?彼が僕にコックリングをはめたい?それとも、僕が彼にウエディングリングをめたがるのを恐れている?)

こういうジョークが好きです。
コックリングとウェディングリングを同列に並べないで欲しいが。

まぁ、どちらもそのうち付けて頂くとして。

ジェイクへの愛を確信

“I owe you one, baby,” he muttered against my ear. I could feel his heart banging away with exertion and excitement against my own. It was the most beautiful sound in the world, and I closed my eyes as I listened and thought, I love you.Source : A Dangerous Thing (The Adrien English Mysteries #2)

(「ひとつ借りだな、ベイビー。」彼が僕の耳元で囁いた。彼の心臓が、僕のとは対照的に、奮闘と興奮でバクバクしてしているのを感じた。それは世界で一番美しい音で、僕は目を閉じ、それを聴いて思った。愛していると。)

exertionってどう訳したらいいんだろう。
「exertion and excitement」なんで、精神的な興奮(excitement)と、ジェイクが取り押さえたりしていた肉体的な動き(exertion)の対比を表してるんだと思うんだけど。

こういう表現に出会うたびに、もっと日本語の小説も読んで、日本語力も上げたいと切に感じる。

さて、SEXはしたけども、まだ付き合っているわけではないジェイクに対して、彼への愛を確信するアドリアン。そんな君が愛おしいわ、私は。

ただ、シチュエーションは素敵だし、ロマンスとしては最高なんだけど、もしアドリアンが私の友人だったら、「そんな男はやめておけ!」と、まだまだすごく心配になってしまいそうな状況です。

相変わらずお洒落なエンディング

Over his shoulder he called, “Are you following me or am I following you?” I opened my mouth — then let it go. Mildly, I said, “Are you sure you know the way?” He paused. Turned. “Hey,” he said. “I found you, didn’t I?”Source : A Dangerous Thing (The Adrien English Mysteries #2)

(肩越しに彼が尋ねた。「お前が付いてくる?それとも俺がお前に付いていこうか?」僕は口を開きー、でも言うのをやめた。控えめに、「道知ってるの?」と言うと、彼は立ち止まり、向き直って「ヘイ」と、言った。「俺はお前を見つけた、そうだろ?」)

初めてのSEXしてる途中でジェイクが言った、

“You knew this was going to happen. Like I did. You called it right. I came after you. Every step of the way.”Source : A Dangerous Thing (The Adrien English Mysteries #2)

(「こうなること分かってただろ。俺が分かってたみたいに。お前の判断は正しかった。俺はお前を追ってきた。その道のりの一歩ずつ。」)

から続いてるんだと思われる会話。

「Are you sure you know the way?」

は、ゲイとして、男の恋人とのこれから先のこと分かってんの?的な。

で、ジェイクの回答が、

「I found you, didn’t I?」

運命の人、英語で言うところの「The One」であるアドリアンを見つけたんだから、もうそっちに進むしかないだろ的な感じかな、と思いながら読みました。

うーん、何度読み返してもやっぱり好きです、このシリーズ。
3巻は個人的に読むのが辛い巻なんだけど、また次の感想記事でお会いしましょう。

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ジーナ

鞭が似合うとか、壇蜜に似てるとか言われる、M/Mロマンス小説とBLマンガ愛好家。
カナダ、バンクーバー在住。
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