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カナダ・バンクーバーで、M/Mロマンスとか、BLとか

第2回M/Mロマンス小説オンライン読書会『殺しのアート#1 マーメイド・マーダーズ』レポート

諸事情があり、急遽、参加者が3人になってしまったので、ちょっとだけ顔を見せて、挨拶だけしてリスケジュールしましょうか、と、ビデオを繋いだが最後、2時間喋り続けてしまいました。
留まることを知らないM/Mロマンス愛。

相変わらず興味深いのは、第1回同様、単に作品の内容を話すだけでなく、文化の違いや、人種差別、フェミニズムなどの社会問題にまで話が発展するので、非常に楽しく充実した時間を過ごすことが出来ました😄
参加して頂き、あがとうございました!

課題図書

こちらの本は、私が以前ブログ記事にもした大好きな作品です。

参加者

と、私ジーナの3人。

ジェイソン、ハニー、ボクスナーは三角関係だったの?

16年前、マーティン・ピンクの1人目の被害者、ハニー(16)、ジェイソン(17)、ボクスナー(書いてないけど20歳前後?)が、三角関係だったということを、ジェイソンがケネディに打ち明けるシーンがあるんですが、なぜボクスナーがそこまでジェイソンを嫌っていたのか、説明不足ではっきりしない。

“He knew I was not an obstacle. He knew before I did. And partly he knew because…”Source : The Mermaid Murders (The Art of Murder #1)

(「ボクスナーは、俺が恋のライバルではないことなんて知っていたよ。俺が気づくよりも先にね。彼がそう気づいたのは…。」)

ジェイソンのセリフは「because…」で止まってるけど、ケネディはそれで理解するんですよね。
2人は全てを説明しなくても通じ合ってて納得してるんだけど、読者としては「え?つまりどういう話?」となりがち。

というか、この本は至る所に説明不足による「?」がちりばめられていて。
それにより、2人が通じ合ってる感があるんですが、読者としては少々考えなければならないところ。それがまた楽しくもあるんだけど。

実は私、読書会に参加するまで、この部分を完全に間違えて捉えてたんですよ。

ボクスナーがあまりにもジェイソンを嫌っているのは、実は思春期の頃に薄っすらと心の奥底でジェイソンに惹かれていることに気付き、でもそれは間違った感情だと思い込んで、逆にジェイソン含むゲイ全体を嫌悪するようになった、と。

なんて熱い設定なんだ…っ!と脳内の妄想が大爆発していました。

しかし、改めて該当の箇所を読み返してみると、

“So to add to Boxner’s frustrations, he had to worry about the fact he was attracting the wrong kind of interest, which is always going to be an issue for an insecure male. Especially an adolescent. Yeah, it fits. It makes sense.”Source : The Mermaid Murders (The Art of Murder #1)

(「ボクスナーは失恋に加えて、自分は同性から間違った興味を持たれてることを心配する必要があった。それは男にとって不安になる問題だな、特に思春期の男の子にとっては。なるほど、そういうことか。それで納得がいった。」)

そう、ジェイソンが抱いていたボクスナーに対する恋心を敏感に察知して、それで嫌っていただけでした。なんだ、普通じゃん。

完全に自分の趣味に合った設定に置き換えてました。
ひとりで盛り上がっていたこの興奮を返してくれっ…!!

それにしても、男性ってよくありますよね。女性は良くも悪くも子供の頃から性の対象にされていることを肌で感じているので、常に狩られる側だという自覚があるんだけど、男性ってそれがないから、いざ狩られる側にたった時に、ひどく狼狽えたり、必要以上にキレたりする。

ジェイソンはどんな人?

文章自体は三人称で書いてあるんですが、基本的にジェイソン視点で話が進むので、ジェイソンに関する描写が少なく、彼の見た目を想像しにくいんですよね。

ジェイソンが出会う他のキャラクターに関しては、背がどのくらいとか、髪の色とか、雰囲気とか描写があるんだけど。

顔は?

本1冊通して、細切れにちょっとずつ見た目の情報を与えられるので、なかなか私も挿絵なしではジェイソンのイメージが固まりませんでした。

ストーリー冒頭で、ケネディから「かわいい坊や」発言されてましたし、ジャーベイズ署長にもイケメン発言されていたので、おそらく顔は整ってると思うんですよ。

そして、ダークヘアで、瞳の色はグリーンで、33歳で、ぐらいしか描かれてない。

2巻以降を読むと、ハイチークボーンだとか、顎が尖ってるとかも出てくるんだけど。

体は?

思い返すと、身長がどれくらいかは書いてなかったですね。ケネディは背が高そうなので、それより低いんでしょうけど。

そして、意外と肩幅が広い。

FBI捜査官だから、そこそこ鍛えてると思うんだけど、10代の頃はガリガリだったと言っていたので、きっと今でも割と細めのマッチョじゃないのかな。

まぁ、持って生まれた肌・髪・瞳の色や顔の作りなどは、個性ではあるけどパーソナリティじゃないので、少しのヒントとジェイソンの言動から、読者が自由に彼の見た目を想像していいのかもしれません。

ゲイでオタクで

ストーリー冒頭から、やたらケネディに突っかかっていくジェイソン。
FBI捜査官としての仕事をする上で、ケネディと言えど舐められたくない様子。

子供っぽいとまでは言いませんが、彼のこの仕事へのプライドの高さはどこからやって来たんだろう、という話に。

ジェイソンは10代の頃、ガリガリに痩せていたとありました。日本は細い男の子が大量にいるのであまり気にならないかもしれませんが、北米だと男で体が細いのはかなりコンプレックスを感じるようで。

また、大学で美術史を専攻するくらいのオタクで、しかもゲイ。

普通だったらそのまま教師や学芸員などになる人が多いんだと思いますが、そこからFBIというマッチョカルチャーの中へ入ったジェイソン。

きっと綺麗な顔だし、細身だし、ゲイだから、舐められたくない、可愛いと思われたくない、という思いが強いのかもしれません。

ジェイソンの可愛さ

これは私の想像なんですが、ジェイソンって性格が全然ひねくれてないですよね。擦れてないというか。

実家もお金持ちだし、頭もいいし、今まで何かを渇望して、でもそれが手に入らなかった経験や、人生に挫折した経験なんて無いんじゃないかな?と思えて。
顔もいいから、付き合う相手にも困らなさそうで。

なので、天真爛漫とまでは行きませんが、結構感情をストレートに表現する人だなという印象を受けました。

そんなジェイソンを、きっとケネディは可愛いと思ってるに違いない。

それから、きっとジェイソンにとって、ケネディが初めての大恋愛なんじゃないか、という声も上がりました。

顔は可愛いのでワンナイトはそれなりにあったんだと思うけど、仕事人間だし、今までの彼氏遍歴はあっさりしてそう。
そう考えると、ケネディ相手にやたら気持ちのアップダウンが激しかったり、妙に初心な反応をするのも納得です。

FBIエージェントの経済状況

初夜の時、ジェイソンは肩幅が広めな上、テーラードのシャツを着てるから脱がせるのに手間取るってシーンを受けて。

ジェイソンはお金持ちの家の子なので、テーラードのスーツを着てても納得な気がするのだけど、All's Fairシリーズのタッカーもヴェルサーチェのスーツを着てましたよね。
そもそも、FBIエージェントのお給料はどのくらいなんだろう?という話題に。

ちょっと調べた感じで言うと、もちろん一言でFBIと言ってもジョブタイトルによって違うんだけど、Special Agentだと、

未経験〜最初の数年は、年収約$50,000くらい。
経験者(5年以上くらい)で、年収約$75,000くらい。ジェイソンはこの辺。
で、シニアレベルだと、もう少し高くなります。サムはこの辺。

そう、ものっすごい低いわけじゃないけど、命をかけてる仕事の割には、あんまり高くないですよね。

ちなみにアメリカの平均年収がだいたい$50,000くらい。

そもそも、FBIエージェントってスーツ着るのかな?とも。
FBIエージェント=スーツの白人って固定概念、テレビドラマの影響が強そうですよね。

アメリカ在住のNakajiさんより、ここ20年でオフィスの服装はどんどんカジュアルになっていて、スーツを着る人が減っているとのこと。
ウォール街とかお堅い職種が集まる地区で、周囲によく見られたい等の美意識でスーツを着る人はいるんでしょうけどね。

私もバンクーバーのオフィス街で働いていましたが、カジュアルダウンさせたスーツや、オフィスカジュアルはそれなりにいるけど、日本で見かけるような上下同じ色・素材のスーツで白のワイシャツにネクタイの人は相当レアですね。

Freeze or Froze?

どうも版によって表記が違っているらしい下記の1文。

ケネディがパートナーの解消を申し出て、それに怒ったジェイソンが半裸で部屋に乗り込むという、みんな大好きなシーンです。

“And I think you should stop yelling the word froze where anyone can hear you.”Source : The Mermaid Murders (The Art of Murder #1)

(「それから、誰にでも聞こえる場所で、フリーズと叫ぶのは止めたがいいと思うぞ。」)

私が持っているKindle Editionだとfrozeで、オーディオブックバーションだとfreezeでした。紙も版次第で違いそうですね。

モーテルの廊下で、ジェイソンが大声で「Freeze(止まれ!)」って連呼するものだから、ケネディがたまらず部屋に引き込む💕

アユ・ヤマネさん、よく細部まで読んでらっしゃる!

初夜

ケネディの誘い文句

ジョシュ・ラニヨンさんの作品は情景描写が多く、また、かなりのページ数をミステリーに割いてるため、なかなかロマンスが発展しないで焦らされる、なんて読者が多いかと。

なので、今作でこんなにも早くベッドインするとは予想してなくて、ジェイソン以上にビックリしました。

そして、初夜への誘い文句がこちら!

“So are you married or involved or what?” Kennedy asked suddenly, brusquely.Source : The Mermaid Murders (The Art of Murder #1)

(「それで、結婚してるのか、誰かと付き合ってるのか、それとも別の何か?」ケネディが突然ぶっきらぼうに尋ねた。)

果たしてこの発言で誘われてるって気づくのだろうか?との声が。

まぁ、実際ジェイソンも混乱していましたし。そこが可愛かったけど。

で、最後までしたの?

ケネディの部屋の入ってすぐのあたりで熱く!かなり熱く!お互いの体を弄り合う2人。そして、イッた後は、次の日の朝のシーンに切り替わります。

このイッた後と朝の間に、彼らは本番行為をしたのだろうか?という疑問。

He landed on the shore, wet, weak-kneed, and shaking—and didn’t object when he was gathered to his feet and guided to the bed. He didn’t recall undressing, only tumbling into cool cotton and warm arms. A sheet drifted down as light as a summer breeze and conscious thought scattered like grains of sand.Source : The Mermaid Murders (The Art of Murder #1)

(岸に降り立ったジェイソンは、濡れて、膝に力が入らず、震えていて、ベッドへと連れて行かれても争わなかった。服を脱いだ記憶はなく、ただ冷たいコットンと暖かい腕の中に転がり込んだことだけを覚えてる。夏のそよ風のように軽やかにシーツが流れ、意識は砂粒のように散らばった。)

改めて読み返すと、どうも気持ち良くて疲れて寝ちゃったっぽいですね。
このあたりは比喩表現が多様されてて、ジェイソンにとって特別な夜だったんだな、と感じます。

そして、次の日の朝、ケネディのベッドで目覚め、あわあわとまるで処女の如く戸惑うジェイソンが可愛過ぎるシーンへ。

Well, yes. Because Jason distinctly—well, some of it was pretty fuzzy—but Jason definitely remembered…a lot. Too much. The size of Kennedy’s cock among other things. The feel of his hands digging into Jason’s ass, the rasp of his tongue on Jason’s nipples, the taste of his mouth.Source : The Mermaid Murders (The Art of Murder #1)

(あぁ、そうだ。なぜなら、ジェイソンははっきりとーまぁ、多少曖昧な部分もあるけどー覚えていた…いろいろと。いやと言うほど。ケネディのペニスの大きさも、それ以外のことも。彼の手がジェイソンのお尻に食い込む感触も、彼の舌がジェイソンの乳首をなぞる音も、彼の唇の味も。)

本番行為、つまりアナルにペニスは突っ込んでないということで、読書会での議論は落ち着きました。

ジェイソンのお尻をdig(掘る)って書いてあったから、私はてっきりケネディが突っ込んだんだと思ってたんだけど(相変わらず自分の都合よく解釈してます)、あくまでお尻の中じゃなくてチークだったんじゃないか?という意見も。
確かにケネディの指じゃなくてhands(手)なんですよね。強めにお尻を揉んだって感じかな?

みなさんは、どう思いましたか?

もしかしてボクスナーと

余談ですが、この本を読む前に、アドリアン・イングリッシュを読んでいたので、1巻じゃそれほど恋愛は進展しないんじゃないか、と予想しながら読んでいた私。

そして、先にも書いた通り、私はてっきり、昔ボクスナーは薄っすらとジェイソンへの恋心を持っていたという間違った解釈をしていたので、今作ではさほどケネディと発展しない代わりに、ボクスナーと何かあるのでは…(わくわく)と思いながら読んでたんだけど…。
はい、もちろん何もありませんでした。残念だー。

あんなに極端に嫌ってたから、もうちょっと何かあってもよかったんじゃ…なんて思えてしかたがない。

あれ、美術捜査してなくない?

確かに考えてみるとですね、美術品のうんちくを垂れるシーンは多いし、多少の美術品に関する調査はするんだけど、メインの捜査にアートはさほど絡んでこないんですよ。

今回の根付の人魚も、ジェイミー・カイザーを出すために無理やり出した感もあるし…。

今後、もっと美術品に関する捜査をするジェイソンを見たいですね!

FBI美術捜査班の創設者の自伝

アユ・ヤマネさんに、FBI美術捜査班を作った人の自伝を教えてもらいました。

非常に面白そうなので、ぜひ私も読んでみたい!
読んでもっとジェイソンの妄想を繰り広げたい!

なぜマルコ・ポーロ?

博物館でジェイソンが落ちてしまった時、トランシーバーも壊れたから、お互い声をかけて生存確認することに。

で、何でマルコ・ポーロなんだろう?と疑問に思っていて。

北米版のだるまさんがころんだ的な子供のゲームがあるのでは?と予想してたんで、パートナーに聞いてみると、ありました!マルコ・ポーロ・ゲーム!
目隠し鬼的なゲームみたいです。

Marco Polo (game)

わざわざこのゲームを選ぶあたりが、ジェイソンのユーモアを忘れないキャラを表してるのかもしれません。
ケネディはだいぶ怒ってましたけどね😉

話題に上がった好きなシーン

半裸で喧嘩、ゲイダーに狂いはない

みんな大好き、読者サービスが過ぎる、モーテルで朝から喧嘩するシーン。
ケネディがパートナーの解消を申し出たことに怒ったジェイソンが、ケネディの部屋に乗り込んでいくのですが。

そのいでたちが、ジェイソンはシャワーを浴びた後で髪は濡れてるし、上半身裸だし。
ケネディはケネディで、シャツのボタンを留めてないから、美しいシックスパック見せつけくれるし、さらに金縁の老眼鏡までかけてる。

展開が美味し過ぎるだろう…。

そして、この時、ジェイソンはケネディがゲイなんじゃないかと気づくんだけど。

For damn sure straight male coworkers did not casually manhandle each other. It occurred to Jason to wonder if there had been another reason he had been partnered with Kennedy. Was Kennedy gay? Ha. Could cyborgs be gay?Source : The Mermaid Murders (The Art of Murder #1)

(確かにノンケの同僚は、お互いを部屋に引き込んだりしない。ジェイソンは、ケネディとパートナーになった理由が、他にもあるのではないかと思えた。ケネディはゲイなのか?はは、サイボーグがゲイだって?)

逆にケネディは、ジェイソンがゲイだって告白する前から察していたんでしょうか?どうなんだろう…。

オタクなジェイソン

ボストンのレストランで、ようやく会話が弾むようになった2人。

“Redmond Granville is a key figure in California Impressionism. I did my thesis on Redmond Granville. I love that guy. In fact, I helped LAPD recover Seascape at Twilight.” Kennedy looked taken aback. His expression changed to amusement after Jason had babbled on for about twenty minutes about California Impressionism and Granville’s role in establishing the movement, but the fact was Kennedy was very easy to talk to.Source : The Mermaid Murders (The Art of Murder #1)

(「レドモンド・グランビルは、カリフォルニア印象の中で重要な人物だよ。彼についての論文も書いたんだ。大好きで。ロス市警が「トワイライトの海景」を回収するのを手伝ったこともある。」ケネディは驚いた顔をしていた。ジェイソンが、カリフォルニア印象派のことや、グランビルが印象派を確立したことなどを20分ほど捲し立てた後、彼の表情は面白がっていたが、ケネディはとても話しやすい相手だった。)

偶然にもジェイソンとケネディが好きな画家が同じで、テンション上がって20分も一方的に喋り続けるジェイソンが、もう、オタクで可愛い。

きっとケネディも可愛いなーと思いながら眺めてたんだろうな。

ケネディの指遣い

2度目のベッドシーン。

Kennedy obviously spent his off-time doing more than attending George Winston concerts because you did not learn that move by practicing on yourself. Or if you did, Jason wanted to know how.Source : The Mermaid Murders (The Art of Murder #1)

(ケネディは確実に、暇な時間をジョージ・ウィンストンのコンサートに行く以上のことに費やしてるはずだ。だって、その指の動きはひとりで練習して出来るようになるものじゃないだろ?もし、出来るんなら、どうやるのか教えてもらいたいよ。)

一見お堅そうなケネディですが、それなりに経験は積んでいるようです。

苗字で呼び合う良さ

もともと仕事のパートナーだから、お互いを苗字で呼び合ってるんですが、その距離感がいい。

さらに、いつも苗字呼びだと、たまに名前で呼ばれた瞬間にドキっとしてるのも魅力。

この作品は甘いシーンが少ないから、名前を呼ばれただけのちょっとの甘さでもドキっとしちゃいますね。

そして、そんな名前と苗字の切替にジェイソン自身もドキッとしてるのが可愛くて。

They parted, and Jason thought Sam—no, Kennedy—looked as confused as himself.Source : The Mermaid Murders (The Art of Murder #1)

(唇を離し、ジェイソンはサム…いや、ケネディも同様に混乱しているのではないかと思った。)

ケネディに手当てをしてもらった時、無意識にキスしてしまった後のセリフ。

「サム…いや、ケネディが」って言い直すのも可愛いポイント。

早く寝たい

2回目のSEX中、ジェイソンが先にイッちゃうんだけど、その後、早く終わってくれって思ってるのがね、まだまだ2人の心に距離がある感じだし、リアルでいい。

Suck? But okay, whatever Kennedy needed, whatever it was going to take to get this done so they could sleep.Source : The Mermaid Murders (The Art of Murder #1)

(舐める?まぁ、ケネディがしたいことで、この行為を終わらせて、眠るためなら、何だってやるけど。)

もう、本当に早く寝たがってる。

実際、彼らは一時的にパートナーになったのであって、住んでいる場所は遠く離れてるし、仕事が忙しくていつもアメリカ中を飛び回っているし、お互いに今を楽しむだけで深入りしないってスタンスが見えてますよね。

遠距離恋愛なんて10代が夢見るファンタジーですし。

ただ、独身同士だし、2人ともゲイであることを隠しているわけでもないなら、臆病にならずに付き合ってみればいいのに、と思えてならないですが。

喘ぎ声問題

第1回でも話題に上がった日本語のBL小説と、英語のM/Mロマンス小説での喘ぎ声表現の違いについて。

前回は、単にBL小説内の「あっ…あん…あっ、ぃや……」みたいな喘ぎ声が苦手という話題が上がっただけだったのですが、今回はさらに突っ込んで、言語によってどうしてそう違うのかという部分に踏み込みむことに。

言語の違い

英語と比べて音や感覚を文字で表現することに長けてる日本語。
ドキドキなどのオノマトペが大量に存在するのは、みなさんもご存知かと思います。

「雷がごろごろ」のような音の表現から、音ではなく感覚を共有できる言葉、例えば「じろじろ見る」など、なんとなく伝わる。
(逆にこういった言葉は、日本語学習者には感覚的に難しいと聞きます)

そんな音や感覚を表現できちゃう言語だから、SEX中の喘ぎ声だってつぶさに表現出来てしまうのではないか、と。

喘ぎ声だけでなく、マンガのSEXシーンの効果音もバリエーションが豊富だなぁとよく関心してしまう。

リアルな人たちの喘ぎ声の違い

そもそも言語が違うと、本の中だけでなく、リアルな人々のSEXの際の喘ぎ声も違っているのではないか、とも。

以前、日本人は息を吐きながら喘ぎ、英語圏の人は息を吸いながら喘ぐ、というのを聞いたことがあるんだけど、どうなんだろうか?

とは言え、一般の人々のSEX事情を覗き見ることはできないし、日英のAVビデオを見比べるくらいしか出来ないので、”リアル”とは言えないけど。
それでも「あんあん」言葉にならない声を上げる日本と、「Oh, God, Yes, Right there」みたいな、割と言葉になってる英語圏の違いはあるなーと思う。

M/Mロマンス小説を読み始めた頃、昔からマンガは大量に読んでるから、小説を読んでマンガのようなビジュアルでシーンを頭の中に再現することは簡単だったんだけど、リアルでガチムチな白人男性のSEXシーンというのが上手く再現できず、海外のゲイビデオを見て研究してた時期があります。

お気に入りの男優くんが「Oh my god!」を連呼してるのを見て、あんあん言わないんだなーと思った思い出。

ジェイソンの場合

余談ですが、先日、SEXセラピストのコラムを読んでいて、SEX中にひたすら喘ぎ声をあげることによって、SEXに没頭でき、頭を空っぽにして、体の中の感覚にだけ集中することが出来る。それにより、SEX体験が向上すると書いてあって。

喘ぎ声がうるさいジェイソンも全力で楽しんでるんだなーと思ったんでした。

私は個人的に、SEX中にうるさいジェイソンが可愛くて大好きなのだが。

萌えの守備範囲

M/Mロマンス小説を好きな人は萌えの守備範囲が広い、との声。

かもしれません。リバっても平気、というか、むしろ好物ですし。

逆に日本のBLマンガ/小説だと、攻めの属性と受けの属性がはっきり決まっていますよね。スパダリ攻めx健気受け、みたいな。
買う前にそれが分かってないと安心して買えない、とか、買った後で攻め受けが逆でがっかりした、なんてよく聞きます。

ちょっと思ったんですが、よく日本は、役割がはっきりしてる社会って言われてるんですよね、他国に比べて。
例えば、「学生」という役割から「社会人」という役割になったから、朝寝坊できない、とか、女の子だったら化粧すべき、とか。
また、「恋人」から「親」という役割に変わったから、デートはしない、とか。
「この役割=こうすべき」が社会の中ではっきりしていると思います。

もちろん目指すべき役割がはっきりしていると、迷うことなく突き進めるという利点もありますが、逆に言うと、社会で決められた役割のイメージから少しでも外れた言動をとると、一気に批判されることもある。

役割を重視する社会がいいかどうかは別として、その文化がBLにも反映してるんじゃないかな、と思えてなりません。

受け攻めの役割、性格が決まってて、そこから外れない方が安心できる、心地いいみたいな。

どちらがいい悪いではなく、選択の問題なので、そんな役割固定カップルが退屈だと思う人は、M/Mロマンス小説を読んだらいいと思いますよ!

まとめ

解釈の違いをディスカッションできる余白のある作品

今回ものすごく感じたのが、いい意味での説明不足が多く、読んでいて疑問を持ちやすい作品なため、読書会をするのにうってつけの題材だと思いました。
本の中で全てを語りすぎないで余白が多いから、読者次第で受け取り方が違い、それを何人か集まってディスカッションするのって、非常に楽しいですね!

時間が足りなかったトピックス

話が盛り上がりすぎて、用意していたトピック全て持ち出せなかったという、嬉しい悲鳴。

  • 原書の表紙は誰イメージなのか?金髪だからケネディ?でも、若いですよね?
  • ケネディは相手のホルスターを外すのに慣れてるようですが、実は他のFBI捜査官と遊び慣れてる?
  • ジェイミー・カイザーは1巻において必要だったのか?
  • ジェイソンとケネディがハンバーガーを食べるシーン。お育ちが良くて割と上品なイメージのジャイソン、それに対してケネディが大きな口を開けてハンバーガーを食べてる姿に、ヘルシーなセクシーさを覚えてたらいいなぁという、私の妄想。

挿絵が見れて幸せ

あと個人的に、私は日本語翻訳版を持っていないので、大好きなイラストレーターである門野葉一さんの挿絵を見せてもらえて、眼福でございました。

こちらのイラスト集、すごく素敵でしたよ、みなさん!


参加して頂いたみなさま、楽しい時間を本当にありがとうございました。
また、普段ブログを読んでくれているM/Mロマンス小説好きな方々も、次回の参加をお待ちしております。

第3回M/Mロマンス小説オンライン読書会

課題図書:『殺しのアート#2 モネ・マーダーズ
日程:2020年6月14日(日)11:00〜
ツール:zoom

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ジーナ

鞭が似合うとか、壇蜜に似てるとか言われる、M/Mロマンス小説とBLマンガ愛好家。
カナダ、バンクーバー在住。
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