2019/12/18
『モネ・マーダーズ(殺しのアート #2)』交錯する3つの事件と3人の男たち。甘いだけがロマンスじゃない、すれ違う時間こそ悶え楽しみたい
1年ぶりに「殺しのアート」シリーズ続刊が発売されましたね。
発売日までに感想記事を書き上げようと思ってたんですが、風邪をひいてしまったのと仕事が忙しいので間に合いませんでした…(言い訳)。
ネタバレ注意です。
※日本語翻訳版は読んでいないので、各英文の翻訳部分は私の意訳です。間違ってたら教えてください!
殺しのアートシリーズ
2019年12月時点で、原書は4巻まで発売されていて、まだ完結していません。
原書 | 日本語翻訳版 | ジーナ | |
---|---|---|---|
1 | The Mermaid Murders | マーメイド・マーダーズ | 感想 |
2 | The Monet Murders | モネ・マーダーズ | 感想 |
3 | The Magician Murders | ||
4 | The Monuments Men Murders |
あらすじ
ある事件で伝説のFBI行動分析官、サム・ケネディと知り合い、連絡を取り合うようになったFBI美術犯罪班のジェイソンは、有能で冷たい彼の不思議な魅力に惹きつけられていた。8ヵ月後、サムからサンタモニカで起きた殺人事件への参加要請を受けたジェイソン。久しぶりの再会に心躍らせるが、サムはなぜか冷たい態度を示す。そして死体のそばにはカンバスに描かれたモネ風の油彩画が残されていた。それは連続殺人犯人の名刺だとサムは言うーー。アートをめぐるFBI事件簿、シリーズ第2作。Source : モネ・マーダーズ (殺しのアート #2)
カップリング
ジェイソン・ウエスト
FBI美術犯罪捜査官(Art Crime Team)
33歳、今作のエンディングで34歳の誕生日を迎える。
ダークヘア、美形、裕福な家育ち。
サム・ケネディ
FBI行動分析官(Behavioral Analysis Unit)
46歳。
ブロンド、長身、ガチムチ、青い瞳。
みどころ
自問自答を繰り返して悶々とするジェイソン
ジェイソンのサムに対してのモノローグがとても多い今作。
もやもやもやもやずーっとサムについて考えては、浮足立ったり、ショックを受けたり、イラだったり。ちょっと乙女チックではあるけど、非常に可愛らしかったです。恋してるなぁジェイソン。
もう、今回のみどころはこれに尽きるんじゃないかと。
なかなかラブラブな雰囲気にならない2人に焦らされましたが。
でも、たまに他のM/Mロマンス小説で見かけるような、仕事そっちのけでいちゃいちゃしてるカップルは苦手なので、ちょっと行き過ぎではあるけども、仕事に真摯な姿勢の彼らには好感が持てますね。リアルでいい。こんな2人だからこそ、感情移入できるし、後々のロマンスをよりハッピーにしてくれます。
交錯する3つの事件と3人の男たち
- フレッチャー・ドゥランド・ギャラリーの詐欺容疑を調査するジェイソン・ウエスト
- モネの油絵を現場に残すシリアルキラーを追うサム・ケネディ
- 20年前に行方不明になった、ドイツ人留学生のパリス・ハヴマイヤーの消息を追うジャーナリストのクリス・シプカ
アートにまつわる3つのケースが交錯し、それを追う3人の男たち自身も絡み合う今回のストーリー。
ミステリーxM/Mロマンスならではという感じで、読み応えがありました。
事件自体はちょっと複雑で、登場人物も多く、だんだんと混乱してきたので、ノート取りながら読んだんだけど。
3つの事件が1つにまとまる様子は、正直ちょっと性急だなぁという気もしましたが。
何よりモネであった必要はあったのだろうか…?
不穏な雰囲気の島
前回の舞台、キングスフィールドは夏の美しい情景って感じでしたが、その8ヶ月後。今回は2月、ニューヨークにあるカムデン・アイランド。2月の東海岸とか相当寒いだろうな…。
架空の島ですが、似たような小島がいくつかあるんで、それらがモデルなんだと思われる。本土のケープ・ヴィンセント(Cape Vincent)は実在します。
島に漂う不穏な空気がいいですね。霧に覆われていて、3つの墓地があり、廃れた時計塔がある、妖しい島。これぞスリル。怖さとワクワクを同時に感じて読み進めてしまいます。
好きなシーンをひたすらあげる
カジュアルな服装の殺人事件
“You didn’t have to dress up. It’s a casual-wear homicide.”Source : The Monet Murders (The Art of Murder #2)
(「ドレスアップしなくてよかったのに。これはカジュアルな服装の殺人事件だよ。」)
こういうジョークをサラッと言えるようになりたいと日々思っているんだけど。
それにしても、ジェイソンのタキシード姿をぜひ見てみたいものですね。
このジェイソンのタキシード姿に実はドキッとしてるサムなんだけど、そんな表情を一切見せずに、ただ手袋を貸してくれるサム。
そして、その手袋をつけて、まだ残るサムの手のぬくもりを感じるジェイソン。
このあたりのさりげなさ過ぎる絡みが、逆にここから続く2人の再会ロマンスへの期待が高まる…と思っていたんですがね。何も起こりませんでした泣。
ジェイソンの可愛さ大爆発
Jason didn’t want to ask, didn’t want to look like it mattered as much as it felt like it did, but after all, if it really wasn’t a big deal, he’d ask the normal questions. He braced himself to get the words out casually.
“When did you get in?”
“This morning.”
Okay. So that wasn’t too bad.Source : The Monet Murders (The Art of Murder #2)
(ジェイソンは尋ねたくなかった、それが大きな問題だと思っていても、そう思われたくなかった。しかし、もし大きな問題ではなかったとしたら、結局は普通に尋ねるだろう。ジェイソンは自分を鼓舞してあくまでカジュアルに言葉を発した。「いつ着いたの?」「今朝。」オーケー。そんなに悪くない。)
8ヶ月ぶりで。サムに会えるのを心待ちにしてたのに。デートする約束したのに。サムの対応が冷たすぎる。
“I’ve looked in a time or two.”
Don’t ask. Leave it alone. Don’t push this. But of course he had to ask. Of course he couldn’t leave it alone.
He said—and now he was the one with the artificially careless tone, “Since Kingsfield?”Source : The Monet Murders (The Art of Murder #2)
(「1度か2度来た。」尋ねるな。放置するんだ。これ以上追求するな。でも、もちろんジェイソンは尋ねずにはいられなかった。そのままにはしておけなかった。彼は気にしてないような声音を作って言った。「キングスフィールド以来?」)
これは誰だって気になりますよ。怒りますよ、同じ街に来てるのに連絡すらよこさなかったなんて。
He’d talked quite a bit about this house to Sam—and had looked forward to showing him around eventually.
And he really, really needed to stop thinking about Kennedy.Source : The Monet Murders (The Art of Murder #2)
(この家についてサムに少しだけ話したし、そのうちこの家を彼に見せたいと楽しみにしていた。そして、本当に、本当にケネディについて考えるのを止めないと。)
物語の前半は、もうこんな感じでひたすらジェイソンが自問自答を繰り返し、苛立ったりショックを受けたりしているシーンの連続。
それが堪らなく可愛かった。
もうニヤニヤが止まらなかったよ。
何度も何度も「サム…、ケネディ」と言い直してるシーンがあって。
もう1巻でもそうだったんだけど、ジェイソン見てると、女子会開いてあげたくなるのよね。
サムの出した答え
“But it isn’t…practical to try to…” Kennedy was picking words as painstakingly as somebody gathering shards of glass. “It’s not enough to…build on.”Source : The Monet Murders (The Art of Murder #2)
(「でも、現実的じゃない…」ケネディはガラスの欠片を集めるかのように慎重に言葉を選んでいた。「このまま進めるには…、足りない。」)
ごめん、いろんな意味で何言ってるのか分からない。
まず、私の英語力が足りないせいで今一つ何が言いたいのか分からなかったんで、辞書引きながら何度か読んで、彼の言わんとすることを理解したんだけども、そしたらさらに、いや、お前何言ってんだよって今度は別の混乱と言うか軽い怒りが湧いてきました。
シプカとの夜
Chris Shipka was not really his type—did he have a type? Tonight his type was anyone who was not Sam Kennedy. There was something sort of rumpled and comfortable about Shipka. His eyes were warm and intelligent. Even his hair seemed to crackle with energy. He smelled like soap and a woodsy aftershave. Pleasant. His jacket carried the scent of the damp night.
Jason smiled. Shipka’s eyes lit, although there was a trace of doubt in his expression.
“That you have,” Jason said. And when Shipka continued to eye him with that mix of wary longing, he reached for Shipka’s belt and drew him in.Source : The Monet Murders (The Art of Murder #2)
(クリス・シプカはジェイソンのタイプではない、そもそもタイプなんてあっただろうか?今夜は、サム・ケネディじゃなれけばみんなタイプだ。確かにシプカには、乱されるような、それでいて心地いいような何かを感じる。彼の目は知的で暖かかった。彼の髪でさえエネルギーで溢れているようだった。彼は石鹸と森林のようなアフターシェイブの香りがした。いいじゃないか。彼のジャケットは湿った夜の香りをまとっていた。ジェイソンは微笑んだ。シプカの目に火が灯った。微かに疑うような表情もあったけど。ジェイソンが返した。「そうだね。」そして、ジェイソンは慎重さと切望の混じった目で見つめ続けるシプカのベルトを掴み、彼を引き寄せた。)
サムに振られて(そもそも付き合ってもなかったんだけど)、落ち込んで、誰でもいいと軽く自棄になってるジェイソン。
“Now, I've got your attention.“ からの “That you have.” って返事。この2言の間に繰り広げられる2人の無言のやり取りが堪らなく好きです。シプカの熱と不安、ジェイソンの諦めと欲情。
からの、ベルト引き寄せて誘う仕草にグッと来ました。セクシーだぁ。
今作での完全なる当て馬、クリス・シプカ。顎が割れてるっぽいシプカですが、私は結構好きなんですよね。ジャーナリストという仕事にロマンを感じてしまう。茶色い巻き毛も素敵。
また、SEX中のジェイソンとシプカの温度差にも注目で。
ジェイソンを崇拝していたシプカは、ひたすらにジェイソンに奉仕するようなSEXをするんですが、所詮、サムへの代替である彼に対して、今一つ盛り上がれてないジェイソン。
この後、彼が殺されることを考えると、居たたまれなくなります。
そして、意外なことに、サムと出会ってからの8ヶ月間、ジェイソンは誰とも、ワンナイトすら無かったんですね。まぁ、サム程ではないにせよ、仕事人間だからなぁ。
ドモ アリガト ミスターロボット
Not that Jason wanted to make Kennedy jealous, but that response seemed to verge on clinical. Dōmo arigatō, Mr. Roboto.Source : The Monet Murders (The Art of Murder #2)
(ジェイソンはケネディに嫉妬して欲しかったわけじゃないけど、でもこの反応は客観的すぎて。ドモ アリガト ミスターロボット。)
ジェイソンがシプカと昨夜SEXしたと告白しても、(不自然なほど)全く動揺を見せずに、行動分析官の仕事モードで分析し続けるミスターロボット。
声上げて笑っちゃいました。
元ネタはこの歌ですね。
3:08 あたりから「ドモアリガット、ミスターロボット」のフレーズが繰り返されますので、みんなで歌いましょう笑。
フレーズがキャッチーなので、聞いた後は頭の中でループ再生すること間違いなし。
私もモネ・マーダーズを読んだ後、家の中で無意識にこの歌を口ずさんでいて、パートナーから「ジーナまた歌ってる」と、たびたび指摘を受けました。
実はこの時、平静を装ってはいましたがショックを受けていたサム。その証拠に、この後やたら「お前とシプカの関係」やら「お前のボーイフレンド」などと突っかかるような発言を繰り返します。素直じゃないんだから。
イーサンの写真
Jason continued to study the photo. Shock had given way to a cold sinking feeling in the pit of his stomach. The guy in the photo with Kennedy looked superficially like himself. Dark hair, light eyes, angular face, and thin build as Crazy Kyser would have said.Source : The Monet Murders (The Art of Murder #2)
(ジェイソンは写真を観察した。ショックで、胃のぽっかり穴が空いたような、冷たく沈んだ気持ちになった。ケネディと写真に映っている男は、一見ジェイソンのようだった。ダークヘア、薄い色の瞳、痩せた顔に細身の体。クレイジーカイザーならそう言うだろう。)
イーサンの写真を見つけてショックを受けるジェイソン。
キングスフィールドのホテルの部屋には飾ってなかったのに、サムは今回あえて運んで来て、わざわざ飾ってるんですよね。ジェイソンとは友達でいるという決意の表れなんだろうけど。その部屋へジェイソンを招き入れるなんて。なんて非道なんだ…。
ただ、このサムの忘れられない元カレ、イーサンはパッと見ジェイソンに似てるんですよね。
ちなみ、イーサンの詳しい情報は次巻で出てきますのでお楽しみに。
実はぞっこんなんでした
“But here I am.” Kennedy was acerbic. “Which is why it had to stop. Because I couldn’t stop thinking about you. All the time. Wondering how you were, what you were doing, worrying if you were being careful, if you were still struggling.”
“Jesus. I’m not struggling—” Jason tried to interrupt, but Kennedy kept right on talking.
“The best part of my day—any day—were the nights I got to talk to you for a couple of hours on the phone.” He looked almost bewildered at the revelation. “I started feeling like I wanted time off, started thinking maybe I shouldn’t take so many chances, like I should start planning for the future.”
“There’s nothing wrong with planning for the future.”
“I’m not talking picking retirement investments. I wanted time with you, plain and simple. I was looking forward to that too much.” Once again he seemed angry as he concluded, “I can’t feel like that and still do my job the way I need to do it.”Source : The Monet Murders (The Art of Murder #2)
(「でも、俺はここにいる。」ケネディは辛辣に言った。「だから止めないといけないんだ。お前のことが頭から離れないから。いつもいつも。お前がどうしてるか、何してるのか気になって、危険なことをしていないか、困っていないか心配になる。」「ジーザス、困ってなんかー」ジェイソンは割り込もうとしたが、ケネディは話し続けた。「俺にとっての最高の日は、いつだって、お前と数時間電話で話した夜だ。」彼はそう思う感じてしまう自分の感情に途方に暮れているようだった。「休みを取りたいと、大量の事件を受け持たず、将来を考えた方がいいんじゃないかって、思い始めてしまたんだ。」「将来を考えることは全然悪くないじゃないか。」「俺は老後の投資の話をしてるんじゃない。お前と一緒にいたい、それだけなんだ。それが楽しみで仕方がなかった。」彼は怒っているようにも見え、締めくくった。「こんな想いのまま、やるべき仕事なんて出来やしない。」)
これ、付き合えない理由をずらずらと述べてるんだけど、かなり情熱的な告白してますよね。
サム真面目だから、お気楽には考えられない。それが彼の良さでもあるんだけど。
激流のごとく湧き出るジェイソンへの恋心と、シリアルキラーを追うと誓った気持ちが葛藤してます。
この絞り出すような告白に胸を撃たれる。
40代半ばのサムが思い悩んでる様が非常に悶えました。
8ヶ月ぶりのベッドイン
Kennedy reached down to unclip his holster, still trying to hang onto the kiss.Source : The Monet Murders (The Art of Murder #2)
(ケネディはキスした唇を離さずに、ホルスターを外そうと手を伸ばした。)
こういう唇を離さないで求めあってる様は最高に熱い!
部屋まで待てずに服を脱ぎ始めてるくだりも。服は拾った方がいいと思うけど。
“I’ve wanted this—you—since I saw you walking across the beach in Santa Monica.” Jason heard his smile. “In a goddamned tux, of all things.”
“I’ve wanted you since we said goodbye that morning at Kingsfield.”
“Yeah. Me too.”Source : The Monet Murders (The Art of Murder #2)
(「ずっとこうしたかった、サンタモニカのビーチにやってきたお前を見たときから。」サムの微笑みが聞こえた。「タキシード姿も、お前の総てを。」「俺もずっとこうしたかったよ、キングスフィールドで朝、さよならを言った後から。」「そうだな、俺もだ。」)
それにしては、見事によそよそしかったですよね、ミスターロボット。
「a goddamned tux」ってどう日本語訳されたのか気になるところ。
“I like those sounds you make,” Kennedy whispered. “The way you move.”
Yeah, Jason was noisy during sex. And Kennedy was quieter than most. Focused. Intense. Attentive. Definitely attentive.Source : The Monet Murders (The Art of Murder #2)
(「お前の喘ぐ声が好きだ。」ケネディは囁いた。「悶えながら。」そう、ジェイソンはSEX中に声を抑えないタイプだ。そして、ケネディは静かなタイプ。行為に集中していて、真剣で、注意深い。確実に注意深い。)
ジェイソンはセックス中にうるさいタイプっていうのが個人的にツボで。可愛くないですか?
なんというかこのあたり、何不自由なく育ってきた彼の奔放さというか。
そして、よく考えたら今作はSEX1回だけでしたね。しかもジェイソンがトップだったし。
あ、シプカとがあったから2回か。
欲を言えば、物語の最後に想いを伝え合ってから、もう1回くらいサムがトップなSEXシーンを見たかったけど。
相変わらず、ボストンの時もそうだったけど、2人のSEXシーンは激しくて熱くて最高です。8ヶ月も待たされた後で、積もり積もったものが爆発しております。
そして私が気になったのは、ここサムの部屋でなので、イーサンの写真は飾ったままだったんでしょうか?何も書いてなかったですよね、そこらへん。背徳感とか罪悪感的なものは無かったのか?それすらも忘れるほどに夢中だったということなのか。
ようやくサムのアフタージェイブの香りを好きに
The pulse beating against Sam’s collarbone was rock steady. He thought maybe he was even getting to like that peculiar aftershave of Kennedy’s.Source : The Monet Murders (The Art of Murder #2)
(サムの鎖骨から感じる心臓の音は安定している。ジェイソンは、ケネディの独特なアフタージェイブの匂いでさえも、だんだんと好きになって来てるんじゃないかと思った。)
ようやく!
1巻からずっとネタのようにアフタージェイブの匂いがキツイって言われてたサムですが。
まぁ、これはサムも死体の匂いが染み着くのが嫌っていうハイジーンな理由で大量に付けてるんだけども。
ただ、もともとこの「キツくて不快なアフタージェイブの匂い」って、サムと出会った頃、ジェイソンはサムを嫌っていて、その「嫌い」の隠喩だったと思うんですよね。で、ここへ来て、ようやくその彼の匂いも好きになって来た、と。2人の関係がひとつ山を越えた感があります。
L WORD が出ました
“I’m going to say it then. I’ve had eight months—not to mention one hellish evening—to think about it. In a business like ours…well, I’d regret not saying it.” He drew in a breath and dove. “I love you, Sam.”Source : The Monet Murders (The Art of Murder #2)
(「じゃぁ、言うよ。俺は8ヶ月間、最悪だった一夜でさえ、ずっと考えてたよ。俺たちのことを。言わなかったら後悔すると思う。」ジェイソンは息を吸い、吐き出した。「愛してるよ、サム。」)
“It’s not the word I’m afraid of. I love you. I’ve known for sure since Christmas when I couldn’t stop myself from calling.” He said self-mockingly, “I just had to hear your voice.”Source : The Monet Murders (The Art of Murder #2)
(「恐れているのは言葉じゃない。愛してるよ。俺は確信してたんだ、クリスマスにお前に電話するのを止められなかった時から。」自らを嘲笑するように言った。「お前の声を聴きたかった。」)
ようやく想いを伝え合えました。はい、長かったですね。
ここまで辿り着くのに2冊かかりましたが。こっからですよ、ロマンスが甘くなるのはここから。
他のカップルと違ってね、2人とも仕事人間だし、真面目な性格だから、この「I love you.」は言葉以上の重みがありますね。何となく盛り上がって言ってるんじゃない、魂から漏れ出てるんだと。
覚悟を決めた誕生日パーティー
“I thought you didn’t do birthdays.”
Sam’s mouth twisted. “It seems I do occasionally do birthdays.”
Jason laughed. “I’m flattered. But before you walk in there, you should know half the LA field office is here. So, if you want to keep our friendship under wraps maybe we could meet up later.”
Sam snorted. “I can take a little office gossip, if you can.”
Jason stared at him. Sam met his gaze calmly. “It’s not a problem for me,” he said, and being Sam, that was probably true.Source : The Monet Murders (The Art of Murder #2)
(「君は誕生日を祝うタイプじゃないと思ってたけど。」サムはニヤっと笑った。「たまには祝うみたいだな。」ジェイソンは笑った。「大変光栄です。でも、入る前に、LAオフィスの半分がそこにいるって知っておいて。もし俺たちの友人関係を隠しておきたいなら、後で会った方がいいかもしれない。」サムは鼻で笑った。「多少のオフィスゴシップなら耐えられるよ、お前さえ良ければ。」ジェイソンは驚いて見つめた。目が合ったサムは穏やかに言った。「そんなこと俺にとって大した問題じゃない。」それは多分真実だ。)
腹をくくりましたね。
アドリアン・イングリッシュシリーズ のジェイクもそうだったんだけど、恋愛に気が引けてる方々は、一度思い込んでからはまっしぐらで。
情熱的だし、鬱陶しいくらい、いつでも気にかけてるし、それを余すとこなく伝えるしで、無敵の最強にカッコイイパートナーへと変貌します。
言い訳になるから
Sam hesitated. Said quietly, “I figured if I hung onto it, I’d always have an excuse to see you.”Source : The Monet Murders (The Art of Murder #2)
(サムはためらいつつ、静かに言った。「これを持っておけば、いつでもお前に会える言い訳になるかと思って。」)
可愛いーーーー!
最後の最後に可愛らしいサムの発言。
そう言えば、カフリンクを結局見つけられなかったとジェイソンが言った時、サムは隣で微妙な表情してましたもんね。
もう46歳でガチムチで仕事人間な男の、この可愛いらしい発言。みごとに胸を撃ち抜かれました。反則過ぎるよ、ラニヨンさん。
彼らの甘いロマンスはこっから、こっから始まるので、次巻への期待が高まります!
アダム・ダーリン
今回、脇役として登場したFBIエージェントのアダム・ダーリン。
実はジョシュ・ラニヨンさんの別の作品の主人公だと聞いて、さっそく読み始めました。(こちらも読み終わり次第、感想を書きますね。)
笑っちゃいけないんだけど、やっぱり名前が面白くて。
何が面白いって、みんな彼を呼ぶ時に「ダーリン」って言うんだもの。
そして、このアダムはなんと All's Fairシリーズ のタッカーの元カレ。
さらに、All's Fairシリーズ の3巻に我らがミスターロボット、サム・ケネディもチラッと出てきます。
アドリアンとジェイクも、『Holmes & Moriarity』という別のシリーズにチラッと出てきますし。
ジョシュ・ラニヨンさんのキャラクターは、他の作品にオーバーラップしてくるから何だか得したような気分にさせてくれますね。
2019/12/23 追記:
『Winter Kill』読み終わりました。想像以上にこの『モネ・マーダー』とリンクしていたので、ぜひ読んで欲しい1冊。
2019/12/23
『ウィンター・キル』ジョシュ・ラニヨンさんファン必見。あのサムもタッカーも登場。オーバーラップするキャラクターたちに興奮が抑えられない。
『モネ・マーダーズ』と同時期に起きた事件を捜査するFBI捜査官のアダム・ダーリンと、彼がそこで出会った地元の保安官代理のロブ。まさかアダムの元彼が『フェア・ゲーム』のタッカーで、彼らが別れた原因がエリオットだったなんて。ジョシュ・ラニヨンさんの本が好きな読者にこそ読んで欲しい、何倍にも楽しめる1冊。
門野葉一さんのイラスト
小説にイラストが載っているのは、個人的にイメージが壊れるのであまり好きではないんですが、この 殺しのアートシリーズ のイラストを担当する 門野葉一 (@kadonoyoo) さんの絵に惚れ込んでしまいました。
『マーメイド・マーダーズ』の日本語版イラストを見たときから、イラスト集があれば買いたいと熱望してたんだけど、2019/12/20にスケッチ集が発売されるとのことで、即行で予約注文しました。
来年日本に帰った時に、カナダまで一緒に連れて帰って来る予定。
書籍紹介
原書
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鞭が似合うとか、壇蜜に似てるとか言われる、M/Mロマンス小説とBLマンガ愛好家。
カナダ、バンクーバー在住。
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